2005年10月27日

85才の名唱

(10月27日 記)

この日曜日、「栗本尊子・日本歌曲の夕べ」。アンコールで歌った、「この道」、「中国地方の子守唄」、「初恋」、は、現在のどの歌手もこんなに個性的に、自分だけの歌として聴衆の耳をくすぐることは出来ない。これが85才の歌手か!――紀尾井ホールは満員だった。



充分に声を呼吸で支え、高音も立派に前に出し、最後の「愛と祈り」、「ばらの花に心を込めて」、という山田耕筰作品を歌い終わったとき、満場の聴衆は心からの拍手を送ったのだが、その後のアンコールで更に息を呑んだのである。

えてして若い歌手たちはーー見てくれがちょっと良いとか、特殊な声を持っていてテレビに出るきっかけを掴んだとかで、世に知られた歌手たちも含めてーー、自分の声に縛られ、楽譜にこだわって、正確には歌ってもお客を喜ばすことは出来ないで、心からではない拍手をもらい、とくとくとしている。その歌手にしか歌えない歌があってこそ本当の価値があるのことを知らない! 途中、歌詞が出てこなくて歌うのを止め、ピアニスト(塚田佳男)に向き返り助けを求めたハプニングがあった。心の中ではさぞかし狼狽しただろうが、見ていて実に何気なく処理されていた。年輪のなす業なのだ!
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2005年10月22日

楊貴妃は日本に逃れてきた 

(10月22日 記)
絶世の美姫・楊貴妃は安禄山の乱のとき自ら命を絶った、ということになっているが、実は生きて日本に渡った。そして日々、夫・玄宗皇帝のことを想い故国・唐の彼方を眺め暮らしていたが、日本を訪れた唐の使節から皇帝が崩御したことを知り、かって皇帝と誓い合った「天に比翼の鳥となり、地に連理の枝となる」の言葉のように、大海原に入り唐の方に向かっていった。――



昨夜観た、日本初演、中国のスーパーオペラと銘打った「楊貴妃」はそういうストーリ−になっている。解説によると、日本にも中国にも楊貴妃伝説があり、日本には楊貴妃の墓まであるそうである。オペラにするには格好の題材だが、残念ながら台本のストーリー展開が面白くない。楊貴妃を溺愛するあまり揚・家族を登用する玄宗皇帝とそれに反発する安禄山の対立。楊貴妃の自殺。帰国した日本人・遣唐使、貞子が実は楊貴妃その人だと知った日本の女帝の驚き。楊貴妃の入水。そういうドラマの頂点は、その課程を上手に描いてこそその凄みが聴衆に迫るのだが、いきなり頂点だけ書いたのでは、どんな名手が歌っても効果は削減されてしまう。折角、選りすぐった(?)中国の歌手たちが来日して3回の公演を新宿文化センターで打ったのに!



京劇まがいのものかなと思って出けた僕にとり、その西欧的演奏の質は大変高かった。日本の10倍以上も人口があるのだ。そのうち国際競争に弱い小さな日本は、経済だけでなく演奏でも負けてしまう!
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2005年10月15日

若い長者たち

(10月15日 記)
村上ファンドが阪神を、楽天がTBSを、ホリエモンが00をーー。みな若い経営者で、みな昔は考えられなかった事業――ファンド、インターネットーー。この世の長者は若者にとって変わった。銀行と企業の護送船団方式がはずされ、金の力だけで自由な経済活動が好きに出来るようになったからだろう。

どれもこれもマスコミをにぎわせるが、どれもこれも合法。じゃ何故にマスコミは取り上げるのか。要するにマネーゲームが世の仕組みを変えることに文句があるからだ。だが、この国の価値観は、金を持つことに置かれている。

――ある老人ホームで年に一回、ヘルパーさんたちの人気投票がある。ペンを持つことも出来ない老人達に、所長さんはヘルパーさんたちの顔写真表を持ち、誰も居ないところで一番好きな人を指さしてもらう。そして、例年決まって圧倒的に一位になる人は、全く目立たない老婆。この人が一番丁寧におむつの中を綺麗にしてくれるのだ。――

若い長者達に比べると、この老婆の世間に対する影響力はゼロに等しい。だが、世の中に対する貢献度はどっちが大きいのか? この資本主義国家では、人々は答えを出す前に首を傾げはするだろうが、結局は若い長者だというのではないのか!? ああ!!!
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2005年10月07日

ケガ

(10月7日 記)
 近くの駅の階段を下りていたら足を踏み外した。その昔の交通事故で僕は右足がちょっと悪い。前方を下りる人達を避け、僕の両足はロレッて走リ落ち、プラットホームにつんのめり転がった。あっという間のことだった。眼鏡が飛び左眉毛の上下から血がボタボタこぼれ落ちた。

 「早く救急車を!」ぐるーっと僕を囲む人垣の中の坊やが叫ぶ。「血を止めて!」テイッシュをくれる人、駅員を呼ぶ人。これが車内暴力を見て見ぬふりをしている日本人か!「ちゃんと歩けますから!」駆けつけた駅員が担架を取りに行こうとしたので断る。そして駅員に付き添われて、にっくきかの階段を登り、構内の部屋で待つうちに救急隊が到着。止血をし、脈を取り、血中酸素を計りーー。総てが親切極まりなく手早くーー。そして数分の病院まで僕の手を取り徒歩で同伴。そこでは、大事はないだろうが脳外科で精密検査を、といわれ今度は救急車で近くの国立医療センターへ。

 「お名前は?」救急隊員と病院で既に何度も聴かれた同じ質問。面倒くさくなったが、こっちの意識を確かめているのだ。そして大事なしと判断し、「お元気で!」と救急隊員さんは退場。頭部のCTとレントゲン撮影。「チクッとします」。若い美人の女医さんが傷の縫合用麻酔を開始。「脳内に異常は有りませんから」「傷跡はわからなくなりますか?」顔に布を被せられて、全く痛みなしに縫合開始。「実は、こんな顔でも、たまにテレビがアップで写すことがありましてーー」「出来るだけ細かく縫いますね!――形成の方へ明日お回ししますから」――

 そして今日はまだ1週間経過してないのにもう抜糸。「随分時間がかかったでしょうね。細かく縫合してあるわ!――石鹸でお顔を洗っても結構です。1ヶ月後にお見せ下さい」整形の女医さんも美人で親切!

 そして払った治療代は、CT,レントゲン、縫合など全部でたった5000円程。救急車はただ!!
posted by opera-okamura at 18:09| Comment(0) | 日記