2012年04月01日

飛び込むケルテス =4月1日 記

「下で泳ごうぜ!」ケルテスが僕ら3人に提案した。小さなホテルのプールサイドから海岸に通じる扉をあけて数十段下りればそこは地中海の海岸。この真昼の陽光の下
を海岸に眼を転ずれば泳ぐ人はおろか、日向ぼっこをする人影も殆どない。しかしまだ4月の半ばだから、如何に中東のテルアビブ近郊とはいえ波は荒い。「ここにいるわ」
ルチア・ポップとイルゼ・グラマツキーは、金髪が海水に濡れるのを嫌がって断わり、交通事故の右足を持ち泳ぎの下手な僕も「一人で泳いだら」とにべもなかった。「とにかく
下に行こうぜちゅ」ケルテスは泳ぎに自信があるらしい。わき目もふらずに降りて行く彼に我々3名はしぶしぶ従ったのがいけなかった!扉口には番人があぐらをかき座って居て、
何やらヘブライ語でぼそぼそと言うが、誰も意に介さず、というよりは何も理解できずに、がらんとした広大な海岸の砂浜に4名の闖入者として歩いて行った。後で解ったこと
だが、どこかに遊泳禁止の黒い旗が立っていたそうだ。「臆病者!」ケルテchスは彼の他の唯一の男性である僕に笑い叫ぶと、修学旅行中の高校生のように、一目散に押し寄
せる波に向かって飛び込んで行ったーー次号に続く。
posted by opera-okamura at 16:51| Comment(0) | 日記
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